私は以前、RSS リーダに NetNewsWire Lite を使っていましたが、さすがに画面デザインに古さを感じてきたので、乗り換えをするべく、Mac 用の RSS リーダを(シェアウェアを含めて)少し比較することにしました(正確に言えば、NewsFire に決めようと思っていて、その確認のためなのですが)。具体的には、以下の RSS リーダ:
を、 ルック&フィール ・ 操作性 ・ 価格 の面から、(私の独断と偏見で)比較してみようと思います。
NetNewsWire
- ルック&フィール — 古くさい。「今の Mac ソフトの気分」に合わなくなっている気がする。 でも…
- 操作性 — 良い。分かりやすい画面・分かりやすい動作
- 価格 — $29.95 普通…かな? 個人的にはもっと安い方がいいですが。
言わずと知れた、Mac 用 RSS リーダの代表。スマートフォルダ・内蔵タブブラウザ・ブログクライアントによる投稿・ソーシャルブックマークへの投稿・3カラム表示・Web 検索結果の購読などなど、機能は完璧。
Vienna
- ルック&フィール — 普通
- 操作性 — 良い。分かりやすい画面・分かりやすい動作
- 価格 — 無料!
フリーだけど、ワイド画面を生かせる 3カラム表示ができる (+ NetNewsWire Lite に飽きた)、ということで、iMac への移行直後から使い始めた RSS リーダ。 でも、17インチディスプレイには、3カラム表示はまだちょっと狭い 、と感じる。かといって、NetNewsWire と同じような「レポート」レイアウトにすると、変化が感じられずつまらん(なんじゃそりゃ)。
また NetNewsWire Lite を使っていた直後だったからでしょうが、過去記事をずっと保持する動作に違和感を覚えました(最新のフィードに入っていない記事がバンバン消えていくのが好きだったりする)。でもこれは、改めて使ってみると特に違和感はないし、もちろん便利(当たり前)。でもあまり「魅かれる」ソフトではないような…。
NewsLife
- ルック&フィール — 今の Mac ソフトらしい(と私が感じる)デザイン。でも…?
- 操作性 — あまり良くない。
- 価格 — $20.00 ※ Beta バージョンで。しかも「日本語 Store」で買うと ¥3200 。ちょっと割高かな?
これは、日本で知っている人はまだあまり少ないのではないでしょうか?
まず、 個性的な機能 として紹介しておきたいのは「 News Bin 」機能 。読んでいる記事をブログクライアントソフトで開いて投稿できるようにしたり、ソーシャルブックマークサービスに登録できる機能は、最近の RSS リーダにはたいてい付いていますが、「News Bin」機能は、それを少し便利にする機能です。簡単に言えば「一時ブックマーク」のような機能です。
具体的には、気になった記事を、ぼんぼん「News Bin」に放り込んでいきます。で、後から、アクションメニューから好きな操作を行えるわけです。 Del.icio.us や digg に登録したり、まとめてブラウザで開いたり。特に私は「RSS リーダで気になった記事をブラウザで開いて → RSS リーダに戻って → またブラウザで開いて」という効率の悪い(「バックグラウンドで記事を開く」という機能もよくついていますが、私の場合は読むの忘れて閉じちゃいそう)動作をよくしているので、この機能を使えば、もっとスマートに情報収集が行えそうです。
画面デザインですが、「今の Mac ソフト」らしい感じです。凝っています。でも、なんだかまとまっていない感じが…。好き嫌いが分かれると思います。開発元の ThinkMac Software の他の製品は、素直に「カッコいい」と言えるデザインなので、個人的には改善を望みます。
さらにもう一点、ThinkMac Software のオンラインストアには、ありがたくも「日本語 Store」というのがあるのですが、これは別に日本語で表示されているわけではなく、しかも「US Store」で $20.00 のところ、¥3200 とちょっと割高な値段がついているのです。Beta ソフトで、(おそらく)ローカライズもされていないにも関わらず、です。これはちょっと…と思ってしまいます。PayPal 経由のようなので、法律的な問題がなければ「US Store」で買いたいところです。あ…いや、ThinkMac Software は、ソフトのデザインもウェブサイトのデザインもいいし、好感が持てますが、ちょっと「?」に思ってしまったわけです。
NewsFire
- ルック&フィール — とても良い。ちょっとやり過ぎなくらいだが、NewsLife とは違い、まとまっている印象がある。
- 操作性 ー まあまあ 〜 とても良い
- 価格 ー $18.99 フルフィーチャーでありながら、ちょっと安い。
よく知らないのですが、開発者の David Watanabe 氏(ブログ)って、本当に全部一人でソフトやウェブサイトを作ってるんでしょうか? Inquisitor といい、この NewsFire といい、Mac ソフトとしての過剰なまでのクオリティにはいつも驚かされます。
画面デザインは、「これが一番使いやすい」と言えるかはわかりませんが、公平な評価を許さないぐらい凝っています。更新されたフィードが「ひゅんひゅん」目立つところに移動していったり、終了時にいちいちフェードアウトしたり。まあ、それが必要かと聞かれれば、別に必要はないんですが、気持ちいいのです。
操作性は独特で、「作者さんが決めた操作方法が自分に合っていれば」 とても快適 だと思います。例えば、 スペースバーを押していくだけですべての未読記事を順番に読むことができ ます。ただ、不便に思う人もいるかもしれません。
先ほど、NewsLife の操作性の評価を「あまり良くない」にしておいて、説明するのを忘れていましたが、私にとっての 操作性の高さ とは、「 マウスだけで操作を完結できる 」「 キーボードだけで操作を完結できる 」この二つが 両立 していること、です。前者は、GUI ソフトである以上、達成できているソフトが多いと思いますが、後者に関しては、意外とちゃんとできないソフトが多いのです。
例えば NewsLife は、次の記事への移動が「コマンド + 右カーソルキー」という、オプションみたいなキー割り当てが行われており、キーボードで記事間を移動するのは楽ではありません。また、マウスでは行える「特定の記事に直接移動する」ということが、キーボードでは行えません。 記事を読むか読まないかは、タイトルを見れば判断できることも多く、キーボードを使いたいユーザーにとっては不便 ではないでしょうか。
NewsFire は、前述のように「作者さんが決めた方法」に従えば かなり快適に記事が読める ように、 注意深く設計 されています。しかし NewsFire も特定の記事を直接読むことはできません。
それでも、NewsFire には魅力を感じます。
Xcast
- ルック&フィール — シンプルで、洗練されている
- 操作性 — 最高 (ちょっと言い過ぎか)
- 価格 — 無料!
まずはじめに残念なことから書かなくてはなりませんが、 このソフトは、開発が継続されているようには見えません。 作者さんのブログも、昨年の10月ごろからぱったりと更新が途絶えています。「本業が忙しくなった」とか「病気で入院している」などの報告があればよいのですが、何もないので、ちょっと心配になってしまいます。
Xcast のよいところは、マウスでの操作はもちろんですが、 キーボードでの操作と非常に相性が良い ことです。カーソルキーだけで、フィード間・記事間を縦横無尽に移動できます。それだけなら NetNewsWire や Vienna でもできますが、Xcast は画面デザインにも工夫がなされていて、ふだんは、NetNewsWire から記事の(内容の)表示を取り去ったような状態なのですが、記事を選んで右カーソルキーを押すと、それまで記事のリストだった場所が「ひゅん」と移動して、全体に記事が表示されます。もちろん、そのまま下カーソルキーを押せば、記事の内容を確認しながら、読みたい記事を選ぶことができます。
これは、記事のリストでは、 長いタイトルも無理なく表示 でき、また、 大量の更新があっても選びやすい のに加え、 記事の内容も読みやすい 、と、 RSS リーダの表示方法のひとつの「正答」 と言ってよく、ほかの RSS リーダにも、3カラム表示に加えて必ず搭載してほしいぐらいのインターフェースです。(Xcast 方式:比較的小さなディスプレイ向け・3カラム:大きなワイドディスプレイ向け)
もう一つの特徴は…というか、これがこのソフトの本当の売りなのですが、 Podcast の受信にも便利 なようです。しかしこれは、試していません。
開発が続けられていないことが残念です。
そして…
そして、ちょうどこの記事を書こうと思っていたときに舞い込んできたのが…
カ…カッコいいじゃないか! 今の Mac ソフトらしいデザインになってます。NetNewsWire 3(まだベータですらない版)です(TUAW 経由)。これまでの RSS リーダ にはなかったような試みもいくつかなされているようなので、期待です。でも「 まだベータですらない 」ので、試してみる方は慎重に。特に 今 NetNewsWire を使っている方 は、 必ず設定データをバックアップ しておきましょう。