Kaku 1.0.2・Kaku 1.1a2 リリース

1.1 の開発がだいぶ進んでいたため、頭の中から飛んでいた(すみません)のですが、先日リリース した Kaku 1.1a に含まれる「Keychain Scripting に依存しない」という変更は、とても重要なものです。

そこで、この変更を バージョン 1.0.1 に適用し、安定版の バージョン 1.0.2 をリリースします。

また、バージョン 1.0.2 でも修正されていますが、記事の日付の処理にミスがあったため、これを修正した開発途上版、バージョン 1.1a2 もリリースします。

いずれも、ダウンロードは Kaku の紹介ページ からどうぞ(今回、いくつか注意点がありますので、そちらもお読みください)。

今回行われた「Keychain Scripting に依存しない」「日付の処理の修正」という変更は、いずれも Hiro さんのご指摘によるものです。ありがとうございます。経緯に関しては、「 Kaku 1.0.1 リリース 」や「 Kaku 1.1a リリース 」のコメント欄をご覧ください。

以下は、参考までに、ちょっとした開発メモです。

AppleScript (Studio) でキーチェーンを使う

パスワードなどを扱いたいときに、システム標準の「キーチェーン」にアクセスできると便利です。

AppleScript でそれを行うために、「Keychain Scripting」というスクリプティング機能追加(正確には、その処理を代行してくれるウィンドウのないアプリケーション)が用意されていますが、これが不具合てんこ盛りの代物なのです。

まず、Studio じゃない場合の不具合からいくと、

  • 認証ダイアログで「拒否」すると、Keychain Scripting がハングする。
  • 複数のスクリプトが Keychain Scripting にアクセスすると、不安定になる(これは僕自身では確認していません)。

また、AppleScript Studio から Keychain Scripting を使おうとする人がどれだけいるか分かりませんが、上記に加えて、

  • なぜかフィルタ参照が使えなくなる。それも全部ではなく、項目によって。試してみないと分からない。例えば、 first key of current keychain whose account is "ppm" など。
  • (上の問題と関連していたかもしれませんが)リテラルなら大丈夫なのだが、変数を与えるととたんに動かなくなる。例えば、 first key of current keychain whose account is accountVar などが、ときに動かなくなる。
  • 一度登録したキーの内容を変更できない(普通の AppleScript ならできる)

…と、意味の分からない不具合が多々あるのですが、AppleScript からシームレスに呼び出せるという利便性もあり、以前のバージョンの Kaku では、フィルタ参照で済むはずのところを repeat 文にしたり、内容の変更ができないので 削除 → 新規登録 で対応したりと、なんとか手なずけて使っていたのですが、やはり Hiro さんのところでハングしてしまう、ということで、代替案を探しました。以下では、僕の選択肢に入ったものを紹介しています。キーチェーンを使いたい動機が違えば、選択肢が変わってきますので、全て載せます。

security コマンド

do shell script で使えます。ただし、一度登録したキーの内容の変更・削除ができません。しかし、既存のキーの情報を使えればいいとき、あるいはユーザー自身に「キーチェーンアクセス」アプリケーションでキーを登録してもらうことができるなら、とても有効な手段となります。使い方は、ちゃらんぽらん さんの記事「スクリプト内のパスワード」と アップルのマニュアル をどうぞ。

Usable Keychain Scripting

これ、ご存知ですか…? 言わずと知れた素敵ブログクライアントソフト「 MarsEdit 」の現作者、Daniel Jalkut 氏が開発した、Keychain Scripting の代替アプリケーションです。「これを Kaku に内蔵できたらちょっと面白いな」と思った(笑)のですが、残念ながらこれもまだ、変更・削除に対応していないようです。また、自分のソフトにバンドルするには、ちょっとライセンスが曖昧です(直接 Jalkut 氏に聞いてみる必要がありそうです)。でも、これも security コマンドと同様、既存の情報を使うだけなら、かなり便利そうです。AppleScript から直接使えますし、Keychain Scripting と比べると、スピードもかなり速いようです。AppleScripter の方にもおススメします。ダウンロードは、Jalkut 氏のブログ記事 から。

Keychain.framework

ここからは、AppleScript Studio 限定になります。Objective-C で書かれたフレームワークであれば、call method コマンドで操作することができますが、残念ながら、キーチェーンの扱いに関しては、「Security.framework」と呼ばれる C 言語で書かれた API しかありません。しかしそこはちゃんと、Objective-C ベースでオープンソースの「 Keychain.framework 」というものが公開されていて、これを使う、という手があります。しかし、これはとてもいいのですが、いかんせんフルフィーチャーなので、サイズが大きすぎます。例えば Kaku はだいたい 600KB 前後なのですが、試しに Keychain.framework を入れてビルドすると、2MB 強になってしまいます。「この時代たかが 1.5MB ぐらい…」と思われるかもしれませんが、やっぱりバランスが悪いというか…。Kaku 本体が 3MB ぐらいになったら使うかもしれません(笑)

Security.framework

いわゆる「直」、Kaku で最終的にとった方法です。Objective-C のクラスを作り、その中で Security.framework にアクセスします。AppleScript からは call method です(どこが直)。その際、Adam Gerson 氏のウェブサイト で公開されている「 Simple Keychain Example 」がそのまま使えそうだと思い、(サンプルとしての使い方ではなくなってしまうので、一応)Gerson 氏に連絡し、許可ももらったのですが、実際にやってみると手直ししなければならない部分が多く、最終的には、本当に「参考にした程度」になっています。

…あ、そういえば、Keychain Scripting を使わなくなったことのどこが重要なのか、体感できるメリットをご紹介するのを忘れていましたが、まず、Kaku の起動・終了のスピードが向上しました。また、認証ダイアログがほとんど表示されません。これは自分でもちょっと面食らいましたが、Kaku で作成したキー(パスワード)を Kaku で使う限りは、認証を求められることはありません(もちろん、キーチェーン全体がロックされているときや、Kaku のアップデートを行ったときには、確認を求められます。…あ、あとユーザーの設定によっても)。よく考えてみれば、これが普通のアプリケーションの動作ですね。

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